この世は無常であるということで物事をありのままに見て、正しい生活習慣を行い、心を落ち着かせ、またこの世は無常であるということを体感するのが、仏教の修行です。
前回お伝えした八つの正しい行い(八正道)はこの三つにまとめることができ、苦しみの原因である煩悩(惑)とその働きによる行い(業)のサイクルから抜け出すことができるとお釈迦様はお示し下さいました。
私は浄土宗の僧侶であります。
浄土宗は、人の心というのは実際問題、一つに静まることができない、たとえば猿が枝から枝へ移動するようなものであると考えます。
どうしてもこの煩悩に支配されてしまうのが人間であり、正しい生活習慣をしないといけないとわかっちゃいるけどやめられない存在であります。
だから、正しいものの見方ができない。できないから苦しんでしまい、それがなぜかわからないからずっと苦しんでしまうわけです。そもそも出家者ならいいけど、ほとんどの方は在家の方です。修行する時間はそんなにありません。
そこで極楽という素晴らしいところで仏道修行を完成したらいい、まずはその極楽を目指そう。どうしたらその極楽にいけるのか、阿弥陀仏という仏様は南無阿弥陀仏と唱えたものは必ず極楽へ連れていくと誓っておられる、それを信じて念仏をとなえようという宗旨です。
阿弥陀仏がどんな人でも救ってくださる。罪を消し去ってくださるのだ。
だからといって、なんでもかんでも放蕩な生活をしたらいい、悪いことはなんでもOKではありません。
それならば、仏様はいてもいなくても変わらないということになります。
浄土宗を開いた法然上人は自分の心を一点のごまかしなく、深く深く掘り下げて見つめられた結果、煩悩だらけであるとわかった上で、正しい生活習慣と念仏三昧生活を続けられました。
それは八正道の実践にほかならないのではないでしょうか。
瞑想を行わないとはいえ、心を研ぎ澄まし、自分を見つめ、世を見つめるからこそ無常であると理解し、念仏以外に救われる道はないと説いたわけです。
いえきっとそれが瞑想にあたるのではないかと思います。
声による瞑想、念仏。
一度でも唱えた方でも50年唱え続けた方でもどちらでも極楽へ行ける。
行けるからこそ安心につながるわけです。
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