あるところに僧侶がおりました
その日は4月8日、お釈迦様の誕生日で、
自分のお寺ではそのお祝いの法要を営む大事な日でありました。
しかし、僧侶は住職の命で相島へ島流しになりました。(法事を頼まれた)
その僧侶はなんと出港時間を見間違え、一時間以上早く港に着きました。
しかし、そこは大丈夫、何冊も本を持って行っておりました。
その僧侶にとって、一人旅は電話がかかってこないし、
客の対応をしなくていい、子どもの面倒を見なくていい、
まさに至福の時間です。
拷問時間⁈
さあ船に乗れる
僧侶はタイタニック号に乗る気分で一番前に座りました。
しかし、認識が甘かったのです
そもそも、「ディカプリオ」を意識したのが誤りでした。
実はこの船は「すげえ揺れる」のです。
それ揺れは横ではありません。
縦揺れです。
そうです、
このタイタニック号は巨大なシーソーと化したのです。
これで僧侶の至福の時間が拷問時間に変わりました。
拷問ならまだしも、
ディカプリオのような最期を迎えるのではないかと僧侶は必死に祈りました。
10秒に一回来る「チンさむ」を約20分間味わい、
無事にあの「猫の極楽」にたどり着きました。
滞在時間90分
港の前には店が出来ておりました。
そこで黄昏ている老人は相島の語り部でしょうか?
ドラクエならすぐに話しかけますが、
もちろん、そんなことはしませんし、
よそ様の家に勝手に上がって、タンスを調べたりしません、
あの行為は勇者がする行いではなく、盗賊の習性です。
そういえば、ドラクエに僧侶という職業あるけど、
自分はリアル僧侶歴15年なのにホイミすら覚えていないなぁ、
なんて、どうでもいいことを考えながら、
その僧侶はお寺へと足を進めました。
港から歩いて5分のお寺
こちらで二件の法事を勤め、
すぐに帰還。
予定している帰りの便を逃したら二時間待たないといけません
滞在時間は1時間半でした
ピュアな島の子たち
帰り道、
3人の子どもとすれ違いました。
子どもたちは「こんにちはーー」と元気よくあいさつしてきました。
僧侶は驚きました。
都会ではまず、ないことです。
この島は子育てしやすい環境かもしれません
また何人かの島の方からあいさつされ、
港の係の方からも丁重なあいさつをいただきました。
わずかの滞在時間にもかかわらず、人のぬくもりを感じました。
どうやらこちらのお寺さんは島人にとても愛されていることがわかります。
僧侶の妄想
静かで、閑か。
僧侶はこの島にいると時がゆっくり流れていくのを感じました。
せわしない日々を送る僧侶にとっては、何だが身を委ねたい気分になります。
僧侶は帰りのフェリーで
ちょっとこんなことを妄想してみました。
島で過ごすことになったらどういう一日か
本を読み、書を嗜み、昼寝をし、ブログで仏教を発信する
夜は美味しい刺身で一杯。
猫と戯れ、猫の写真を撮り、猫坊主という肩書をつけ、
都会の人を集めて、写経をしたり、
法話体験など、泊まり込みで修行体験をしたり、
なんてことも面白いだろうなあ、
お寺らしいことができる島生活にはピッタリ
しかも船でわずか20分で着く。
なんてことを考えていると船がいつもの新宮港に着き、
僧侶はまたいつもの現実に戻っていき、
あわただしい生活を送っていきました。
とさ
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