仏教の話

『鬼滅の刃』から学ぶ仏教


 

『鬼滅の刃』から学ぶ仏教

 

『鬼滅の刃』の“鬼”になると

常人離れした身体能力と永遠の若さが保たれ

腕が切り落とされても瞬時に再生される体質になれる代償として

人の血肉を喰らって生きていかねばならない

 

欲の極みのというべき存在で

他人を蹴落として

血の涙もない、

ただただ我欲に執着した末路と言える

 

しかし、

それにはそうべくしてなった悲しさ孤独があり

救いとは何なのかを求めていた時に

“鬼”という間違った幸せにたどり着いたやむにやまれぬ結果である

 

それに比べ

人間は生老病死を抗いながら生きている不安定な生き物

鬼になった方が楽かもしれないと安易に考えてしまう

 

溺れる者は藁をもつかむ

苦しんでもがいている時はそれが本当のしあわせかどうかの判断ができない

そういう弱い時に

甘い言葉でささやかれると誰しもそれが救いにみえる

 

このマンガはこの「我欲」(鬼)とそれに対抗する「人の想い」が描かれていて

鬼殺隊(きさつたい)から倒されていく鬼たちは

最期には本当の幸せに気づいて解放されていく

これをこの作品では「成仏」と表現している

 

私が注目したいのが度々『仏説阿弥陀経』を読むシーンが出てくること

このお経の内容を物凄く簡単に言うと

「極楽浄土は西にありますよ

そこはこれこれこういう綺麗な世界で一切の苦しみがないところです

みんなここで一緒に生きることができます

だから念仏しましょうね」

ということで

 

恨み憎しみ悲しみ孤独から解き放たれ

仲間共々、一番会いたい人とあの世で再会し暖かなシーンを迎え

鬼は最初から「悪」ではないことを読者に伝えている

 

常に合掌して念仏を唱えているキャラが出てくる(悲鳴嶼)

(世間では子どもを善の塊みたいに言うが、この漫画はこういう「悪」の部分もちゃんと言っている)

この南無阿弥陀仏の男がなんと仲間では一番強い

彼がなぜ念仏を唱えているか

漫画の中では「反復運動」というルーティンから来る超集中状態にするためだと予想しているが

(実際に念仏で超集中状態になる体験をされるお坊さんはいます)

私はこの漫画のテーマは

「今ある幸せはずっと続いているって思い込んでいたけど

ある日突然、破壊されてその幸せが薄い硝子の上に乗っていたものだと気づいて

それでも、希望をもって懸命に生きていく」ことなんだと私は思っており

 

そこから阿弥陀経と念仏を引き出していると感じて仕方がない

 

もうそれはそれは

南無阿弥陀仏の推しがすごいんだから



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