日記

苦労の縁は逃げれたとしても形を変えてやってくるので逃れられない


 

苦労の縁は逃げれたとしても

形を変えてやってくるので

逃れられない

 

昔々

あるお坊さんが

七日七日の中陰のお参りをお願いされた

お参りに伺うと

畑仕事をされるお家なので

誰もいなかった

ひとり鐘を叩いてお経を唱えていると

終わりごろになると

その鐘の音を聞いて

家の方が畑から戻って

お坊様にお料理をもてなした

貴重な白米を用意して。

 

次の週

また、誰もいない仏間で

隣の座敷に目を移すと

そこにはお膳が用意されていた

ひとり鐘を叩いてお経を唱えていると

小さい2,3つの子どもがやってきて

ごはんを装うしゃもじを

べろべろになめまわし

その場でおしっこをたらした

そして

ポイっとしゃもじを

おしっこのところに投げ

どこかへ消えていった

 

お経を終えると

先週のように家の方がやってきて

深々とお礼をいい

「さぁ、どうぞ」っといって

“そのしゃもじ”でおひつを

よくかき混ぜご飯を装うと

お坊さまは

「いやいや、急に腹が痛くなったので失礼します」

と言って帰った

ふっとひと安心。

 

次の週

家の方が

「先週はお忙しいところ無理におこしいただきまして申し訳ございません。

この間のごはんがもったいなかったので、甘酒にさせていただきました

どうぞ、召し上がってください」

と、差し出されたので

そのよだれとおしっこまみれのご飯でできた甘酒を

いただくことになってしまった

 

苦というものは

その時逃げたとしても

逃げきれない

必ず形を変えて

やってくるのである



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