仏教の話日記

「鬼滅の刃」で見るグリーフ


 

鬼滅の刃で見るグリーフ

 

グリーフとは

喪失感、悲愴ともいうが、

大切な人、ものなどを失ったことによって生じる

“その人なりの自然な反応”である

 

鬼滅の刃はグリーフだらけの漫画だ

これを読んで

「自分はこんな鬼の道を選んだりしないね」

とは誰も思わないのではないだろうか

 

強さを求めたくても叶わない

愛情を求めたくても叶わない

理不尽、不条理な縁に会えば

誰でも鬼になることがわかる

 

上弦の参(あかざ)を見てみると

やっと幸せを掴むだと思った瞬間

最愛の人を亡くしたそのグリーフは

鬼となり百年以上無意味な殺戮を

繰り返してしまう結果となった

「自分が弱いから大切な人を守れなかったから」と

 

強さを求める異常なまでの鬼の執念から

どのようにして解放されたかというと

最愛の方の言葉を思い出したからである

そして

思い出したきっかけは炭治郎の見事な一撃により

尋常勝負なら負けているはずのところ

それを鬼の再生能力によって

負けを負けと認めようとしない“自分の弱さ”を

知ったからだ

 

そこに過去の記憶が思い出され

最愛の方の声が聞こえた

「もうやめましょう

“向こうに行きましょう”」と。

 

先立たれた方を意識する生き方は

自分を大切にすることになる

今の自分の行動は亡き方から見て

どう映るのだろうかと

仏壇の前に座り手を合わせる生活は

そういうことを意味するのかもしれない



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